エピソード2

命日に故人の思い出を偲ぶその2

画廊のなかをぶらぶらしていたジョンは、

入り口の近くにあった梯子(はしご)に目が行った。

それは天井にぶら下がっている1枚の絵を

見るための梯子で、

その端に小さな虫眼鏡が鎖でぶら下がっていた。

絵は無地の白いキャンパスのように見えた。

ジョンは梯子を登り、虫眼鏡をのぞくと、

絵には小さな文字で「YES」と書いてあった。

「僕は救われたような気分になった。

『NO』とか『FUCK YOU』とかの言葉じゃなくて

『YES』だったんだから」

この作品がジョンの心を大きく揺さぶった。

『釘(くぎ)をハンマーで打ち込め』と書いた掲示板があった。

「僕は、やってもいいか」。ジョンはたずねた。

ヨーコは断った。

そこへ店の主人が出てきて、

小さな声でヨーコとヒソヒソ話をしていた。

結局、

ヨーコが「5シリング出してくれたらやってもいいわ」と言った。

機転の利いた返しこそ、ジョンの得意技だ。

「わかった。5シリング君にあげたつもりで、

釘をハンマーに打ち込んだつもりになるよ」

ジョン26歳、ヨーコ33歳。

雑記
2011/12/08 23:34



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