熊谷家 三河豊根

 愛知県豊根村は山また山の奥三河にある。山道をいくと、入り母屋造りの豪壮な民家が現れてきてびっくりする。国の重要文化財熊谷家だ。熊谷家は信州よりこの地に土着していらい19代続く。庄屋だった家は、大きな茅葺き屋根におおわて、見上げるほどに堂々としている。奥行きの深い中にすっと入り込むと、ひっそりと懐かしい静謐なところへと連れていってくれる。骨太の構造の静かに沈んだ空間に立つと、浮き足立った時代の流れが一瞬遠のく。障子に映る日差しがほのかに薄らいでいく。
 2階建ての穀倉と新倉が主屋の前に建つ。主屋の黒光りした柱に祈祷札が貼ってあった。季節に応じて、天候や時刻に応じて、家を取り巻く自然環境に敬意を払って暮らしてきたのだろう。熊谷家に残る一番古い御札は寛保4年(1744)のものだそうだ。風雪にもまれて、よくもまあ260年の歳月を重ねてきたことか。

2010/03/17 09:54



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