パキスタン フンザ 1ギルギット川と分かれて、さらに支流のフンザ川を遡る。カラコルムハイウェーはノーザンエリアに入っていく。対岸にジープ道が細々と続く。かつてのシルクロードは見る影もない。激流につり橋がかかっている。降りて行ってみると、渡し板が跳び跳びで、しかもユサユサ揺れているから渡ろうにも渡れない。さすが地元の人は慣れていて、ひょいひょいとこともなげに渡っていく。
フンザが見えてきた。橋を渡り、坂道を登る。浅緑の段々畑、アンズの白い花。谷深く、こんなにもひっそりとした村があったのだ。穏やかな風景のなかで、野良仕事に励むひとがいる。どこまでも高い段々畑は、耕して天に至る。
山々に囲まれたフンザはすり鉢の底にあるようなものだ。平らなところといえば川原か学校の運動場くらいだ。どこへ行くにも、うねうねと坂道を歩いていかなければならない。これじゃあ畦道を上り下りするだけで大変だ。だが足腰が鍛えられれば、それだけ丈夫になる。長寿の坂道、細い道、ソレヤットコホイッサッサ。
見晴らしのよいホテルに泊まった。窓いっぱいに村の風景が見え、夜には家々の明かりが点々とまたたいて幻想的だ。部屋の窓から8千メートル級の高峰、フンザピーク、レディースフィンガーが見える。
庭は杏の園で、居ながらにしてお花見気分だ。
晩御飯はシシカバブ、タンドリーキチンに加えて、ダウドというパスタ入りスープが出た。パスタと思ったらうどんの元祖だという。東洋のうどんがシルクロードを越えてフンザに伝わったらしい。西域の食文化はさらに西へ向かっう。イタリアのパスタ料理は、シルクロードがルーツなのかなあと、フンザのうどんを食べながら考える。
「長細くないねえ」と言ったら、元々うどんは団子みたく丸まっていたそうだ。くるくると端がないから混沌、それがなまって饂飩になったという。おつゆは醤油味でなくて、どこかカレーうどんに似ていた。
夜更けて、星がカラコルムの山頂にかかっていた。降るような星月夜、オリオン、カシオペア、スバルへと星めぐりをする。
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