秘境 ブータンブータンは秘境に彩られて、必ず秘境の文字が冠せられる。まるで秘境ブータンというのが正式な国名みたいだ。どこもかしこも秘境なのかというと、実はそうなのだ。
南極が縦断され、エベレストのルートがいくつも開かれても、ブータンの地図はなかなか完成されなかった。今でこそ人工衛星インテルサットでよほど知られるようになっているが、森の奥深くは謎のままである。山また山のさらなる谷に住むは、神か仏か魑魅魍魎か。
何しろ、 7 千メートル級のヒマラヤの斜面が国土だから、がけっぷちにしがみついて暮らしているようなものだ。わずか南北 170 キロの距離を 7000 メートルの落差で駆け下りる。北アルプスと浜松の距離だ。ブータンの川は、すべて氷河を源流として滝のようにプラマプドラ川に流れ落ちる。氷河が渓谷を切り刻んで厳しい山容をつくる。ブータンの景色は高いか深いかのどちらかである。
タシヤンツェのクロン・チュ(川)は、氷河の融水で茶色ににごっていた。それがタシガンあたりで銀ねずに変わる。川土が星
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