木洩れ日の家で
ポーランド映画。木洩れ日が射し込んでくる一軒の古びた家に90歳を超えたアニェラは、ひとりで住んでいる。
部屋や家具に思い出がしみついている。それらの品物を失うことは、彼女にとって過去を否定されること。若い者にはガラクタでも本人には大切な宝物なのだ。
家も最近がたが来て、停電もしばしば起こる。それでも助けを求めようとしない。電話も訪問する人も、みな財産目当てで、無礼きわまりない。愛犬のフィラに話しかけることしか楽しみがない。
古いガラス窓が外光に歪んで、思い出の一コマを映し出す。はつらつとバレエを踊る少女時代、ワルツに胸をときめかせた夜、美しい記憶だけが慰めてくれる。だが、愛した人たちも時間とともに去り、マニュエラを置き去りにしていく。
近所に住む若いカップルは子供たちに音楽を教えているらしい。時々子供たちがフェンスの破れ目から庭に勝手に入ってくる。3階の部屋へ外からよじ登ってくる悪ガキもいる。くったくなく話しかけて、じゃあねと下りていく。いきなり訪ねてきた少年は、自分の現在にも未来にも一切の不安を抱いていないようだ。目が澄んでいる。
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欲に目のくらんだ息子や隣人をさしおいて、この家を子供たちの音楽の練習場にすると公証人に言い置く。
歓声を上げながらひとりひとり楽器を手にして、子供たちが木洩れ日の家にやってくる。音楽を教える若い夫婦は貧しそうだけど、どこかあたたかい。こぼれる笑みが小さな幸せを運んでくるようだ。
フェンスを乗り越えて入り込んできた悪ガキが、熱い紅茶を手にマニュエラの部屋にやってくる。声をかけても返事がない。午後の日差しの中で、木洩れ日を浴びながらマニュエラは眠っている。
森に囲まれた家の周りで、小鳥のさえずりが聞こえてくる。がらんとした部屋に、瑞々しい命の息吹が吹き込まれる。子供たちの笑顔が木洩れ日に揺れている。音楽が古びた窓から流れだす。
愛犬フィラの瞳は、天に召された
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