長田弘は現代の最高の詩人だと思う。『深呼吸の必要』『世界は一冊の本』『人はかつて樹だった』などの詩集がある。やさしい言葉で深い想いを語る。
「人生は森のなかの一日」は『詩ふたつ』に収録されている。そのなかの最初のフレーズ。
何もないところに
木を一本、わたしは植えた。
それが世界の始まりだった。
次の日、きみがやってきて、
そばに、もう一本の木を植えた。
三日目、わたしたちは、
さらに、もう一本の木を植えた。
木が三本。林は森になった。
森の木が大きくなると、
おおきくなったのは、
沈黙だった。
沈黙は、
森を充たす
空気の言葉だ。