なぜ森に癒されるのか 湖水地方 2

10年ほど前、ぼくは湖水地方を旅した。ひなびたローカル線のオクセンホルム駅で降りて、ウインダミア湖へ向かった。森を歩くうちに、鳥や花に目が奪われる。
グラスメア村のワーズワスのタヴ・コッティジを訪ねた。石造りの小さな家だった。彼はここを起点に、生涯28万キロを歩いた月へと達する距離だ。彼は森を歩いてインスピレーションを得る。そして詩を書いた。

の近くで、1万もの水仙がそよ風となっていた。抜きんでていて、歓喜のきらめく波だった。

森の茂みに囲まれたダーウィン湖にボートを浮かべて、ぼくはオールを漕いだ。森との幸福な出会いだった。

翌日、渓谷をさまよい、峠を越え、アイリッシュ海の見える港町まで足を延ばした。ワーズワスのいう、森の知らしめる強さを知った。欲望、羨望が人々の心を捉えて離さない都市とは遠い世界だった。

その日、湖の近くのプチホテルに泊った。夕餉の支度なのだろうか、煙突から煙が空に漂いだしていた。

2010/07/22 10:04



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